platonic love
繁華街なんてもちろんないあたしの住む町には、駅前にセブンイレブンと小さな神社がある。
神社には、いつも人がいた。
階段をのぼると、広いスペースがあって、さらに小さな階段をのぼるとお賽銭箱などが置かれている小さなスペース。
放課後、皆がそこに溜まっていた。
神社へと向かう細道を歩いてると、神崎先輩が待っていた。
『こんばんわ!いきなりごめんなさい』
「お前ほんっとすげぇよ。親平気?」
『11時までなら大丈夫です!!』
「そっか。これから皆来るけど、とりあえず先神社いこ」
『え!二人じゃないんですか!?』
「…二人がよかった?」
『いやっ別にそんな事はないです(笑)』
「また今度ね」
意地悪く笑う顔。
あたしは顔が真っ赤で、何も言わずに先輩の後ろをついて階段をのぼる。
175センチの先輩の背中は、本当に大きい。
こんな近くにいるのに、ほんの少しの距離が遠く感じた。
『…先輩。』
「何ー?」
『好き』
「何だよ、いきなり」
返事をする先輩は後ろを振り返る素振りもしない。でも、声だけで嬉しそうな顔が想像できるから、やめられない。