platonic love




その日も坂の下まで送ってくれた先輩。

後ろ姿を、ずっと眺めていた。



学校では毎日のように恋バナ。

先輩と二人きりで会ったことをユヅキ、サキ、マコに話すと「もうそろそろ付き合えるんじゃない!?」って皆で盛り上がった。

でも、あたしにはわからない。

恋をするのも、こんなに誰かを本気で好きになることも、すべてが初めてで、よく聞く”脈があるのかないのか”なんて判断できるわけない。




「今日会える?」

友達もいっぱいいるのに、どうしてあたしと会うんだろう。


『会えますよ。神社行けばいいですか?』

「待ってる」


二人きりで会うのは二回目。



『神崎先輩!』

「おう」

階段をのぼる先輩の後ろを黙ってついていく。その後ろ姿が寂しく写る。


「今さ、ここに住んでるんだよね」

『えっ!?』

「夜は少し寒ぃけど、コンセントもあるし携帯も充電できるし、コンビニもあるし意外と困らねぇんだよ」

『…家は?…家には帰りたくないんですか?』

「俺邪魔でしょ」

『お風呂はどうしてるんですか?』

「タクヤんち借りてる」

『そうなんですか…』


この神社は、放課後目立った人たちは皆たまっている場所ではあるけど、野外だし、石段とじゃりしかない。こんなとこで寝泊まりなんて普通はできない。

でもだからといって、先輩の気持ちを考えたら簡単に家に帰った方がいいですよとは言えない。

だけど、本当に心配。


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