platonic love



帰り道は少し会話をしたけど、本当に楽しくなかった。


坂の下で別れる時

『また会ってくれますか?』

不安にかられて聞いてみたけど


「わかんない」

顔も見ずにそう言って、帰って行った。


神崎先輩は、お前は本当面白い。お前見てると楽しいってよく言っていたから、今日全然話せなかったあたしを見て、幻滅していると思う。

もう会ってくれないだろうなって。



素直になればよかった。


でも、こうしたらよかった、こうすればよかったっていう”たられば”は、過ぎたからこそ思うこと。

そんな事考えたって仕方ない。


でも思わずにはいられない。

どうしようどうしようって気持ちが不安定になって、帰ってすぐにパソコンの電源を入れる。


『先輩…あたしのことどう思ってますか?』

何も考えずにメールを送った。


「どうも思ってない」

『好き?嫌い?』


返事は来ない。

押してダメなら引いてみろ、なんて駆け引きは先輩には通用しない。

引いたところで追ってくれる人じゃない。押して押して押した先に、結果が待ってる。


そんな事わかりきってたのに、あたしはもう何も見えなかった。



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