platonic love
あれから二人で会おうって誘われることはなくなったけど、たまに電話をするようになった。もちろん家の電話で。
どうやら神社に住んでたのは一週間ほどで、もう隣町の家に帰ったらしい。
「夜すげぇさみぃんだよ」って普通に考えたらわかることを教えてくれた。
神崎先輩が電話をかけてくるのは最寄り駅から家に着くまでの帰り道だったり、友達を待ってる時間だったり。
本当に、先輩は寂しがりや。
他の女のコと遊んでるのもわかっていたし、もしかしたら彼女がいるかもしれない。
だけど、それでもあたしのために時間を作ってくれるわけじゃないけど、いつかかってくるかわからない電話が楽しみだった。
今から電話するってパソコンにメールが届いて、わかったって返事をする。
『…もしもし?』
「俺だけど」
『今、帰ってるんですか?」
「いや煙草買いにきた」
『未成年はダメなんだよ(笑)』
「うるせぇよ」
『…そういえばあたしもうすぐ13歳の誕生日なんです』
「いつ?」
『10月11日』
「何か欲しいもんある?」
『んーないですけど…会えたら会いたいです』
「どこがいい?」
『神社でいい!一緒にいれればどこでも嬉しいもん!』
「バカじゃん、お前」
電話越しに嬉しそうに笑う先輩が想像できる。
『バカじゃないですー!』
あたしの嬉しそうな声に返事はない。
どうやらコンビニについたらしい先輩は、電話の向こう側でレジの人と話をしていた。