platonic love
「もしもし」
『はい。煙草買えました??』
「制服じゃ売れませんだってよ」
「…バカじゃん』
「お前だけには言われたくねぇ」
神崎先輩が家に着くまでの間、あたしはバカみたいに話しまくって沢山笑った。
楽しい時間ってあっという間で。
「家着いた」
って言葉で、誰も聞いてない誰にも入れないあたしと先輩だけの時間は終わる。
『はーい!おやすみさーい』
「じゃあな」
あたしからは絶対に電話を切らない。
切った後の機械音を、神崎先輩に聞かせたくないから。最後までちゃんと聞いてるよって伝えたいから。
先輩があたしのそんな乙女心に気付いてるのかはわからないけど、たまに嬉しそうな声で「早く切れよ」って笑うから、きっと気付いてるんだと思う。
だけどあたしだって、気付いてる。
あたしのために電話をしてきてくれてるわけじゃないけど、家からコンビニまでそんなに時間がかからないってこと。
コンビニまで着くのは一瞬なのに、帰り道は何十分もかかってる。
きっと先輩は、一生懸命その日あったことを話すあたしに耳を貸してくれてる。
どこまでも優しい。
ー13歳の誕生日は、神崎先輩や先輩の友達にいつもの溜まり場で祝ってもらった。
学校では、友達は皆ピアスをくれた。
開けたばかりのピアス。
先輩と同じ数のピアスの穴が、誇らしかった。
放課後は部活をサボって、先輩たちの溜まり場に向かうと、神崎先輩があたしを待ってた。
「誕生日おめでとう」
プレゼントなんかあるわけないし、あたしの顔も見ないまま歩いてく