platonic love




ーだけど、差し出された紅茶を一口飲むと

向かいに座ってた神崎先輩が、突然立ち上がって、あたしの手からミルクティーの入った缶を奪い取って

そのまま中身を捨て始めた。



『…何してんですか?それ、先輩のじゃないじゃん』


明らかに怒ってる神崎先輩に、周りの先輩はバツが悪そうな顔をして

「瞳ちゃん」

『…ミルクティーごめんなさい』

「瞳ちゃんのせいじゃないから。俺が考えてなかっただけ」

『…』

「優くんに、飲み物もらいな」



だけど納得がいかない。

あたしが好きなのは神崎先輩。
それなのに他の先輩の飲みかけのミルクティーをもらうのは、悪いことなのかもしれない。


でも、あたしは先輩の彼女じゃない。

ヤキモチ焼いてるのはあたしにだってわかる。だけど、それってなんで…?


あたしの事なんか好きじゃないくせに

自分は、色んな女のコと毎日遊んでるくせに。あたしには誕生日プレゼントくれなかったけど、他の女のコにはあげてることだってお姉に聞いて知ってる。

何も知らないと思ってるの?




「いる?」

『…いらないです』


何もなかったように神崎先輩は飲んでたペットボトルを、渡そうとしたけど、あたしは意地を張って受け取らなかった


「あっそ」



ペットボトルは、そのままゴミ箱に捨てられた。
< 53 / 76 >

この作品をシェア

pagetop