platonic love




2005年も終わって、あっという間に卒業の季節になっていく。


神崎先輩と出逢って1年が経った2月のはじめ、あたしは学校帰り自動販売機でセブンスターを買った。

あとは、コンビニでライターと、携帯灰皿。
100均で、黒のラッピング用紙と、シールも買う。


ピンク色のライターにシールを貼って、セブンスター、携帯灰皿と一緒に黒のラッピング用紙に入れた。





『神崎先輩』

久しぶりにきた3年生の廊下

教室の後ろ側の扉を開けて、少し大きめな声で先輩を呼ぶ。


「なんだよ」

あたしがきたことが意外だったのか、先輩は少し笑ってた。


『おたんじょーび!』

「…」

『おめでとーございます』

「…おう、ありがと」

『はいっ!これ』


昨日買った煙草を渡す。

目の前でラッピングを開ける先輩。
中身を見ると、本当にびっくりしていて、下を向きながら笑っていた。


15歳になった先輩にあげた、小さなあたしなりのプレゼント。

久しぶりの笑顔を見て、本当に嬉しくなったけど、これ以上話すこともない。
そのまま来た道を戻って、あたしはあたしの教室へ帰る。



もうあと1ヶ月もしたら、この廊下、この教室に先輩はもういないんだ。

少しでも楽しい思い出を作りたい。




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