ワンコそば
雨の日の捨犬はより一層可哀想。

どちらを先に刺すか


その順番が僕の運命を大きく左右する





 少年は頭の中で何度も何度も同じ場面を思い描いていた。

まず女どもを殺ろうか?

血の惨劇をあいつに見せつけてから恐怖に足をすくませているところを後ろから刺そうか?

二つの死体と飛び散った血を見てあいつは何を感じるだろう…

突然の息子の変貌に驚きと恐怖を感じるだけだろうか?

では、順番を逆にしたらどうだろう?

門の前であいつを待伏せる。

無防備のあいつを殺るのは簡単だ。

血で染まった死体を引きずって玄関を開けたら女二人で出迎えることはないだろう。

片方ずつ。

最後に残った奴が最も恐怖を感じながら死んでいくんだ。

普段は偉そうにのさばっているが、自分が殺されるとなったらどんな表情をするだろうな。

「許してください」と許しを請うだろうか。

うん、その方がおもしろい。

まずはあいつからだ!

少年はククク、と含み笑いをし手元の凶器を光らせた。

銀色に光るそれに少年の細く吊り上がった目が映る。

 計画を実行するには今日のような雨の日がいい。

多少の物音も悲鳴も雨にかき消される。

今日こそ計画を実行だ。ーーー
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