宵待人


「……今日は、とても気持ちのいい天気ですね」


昼食を終え、少年は男とともに和室の庭先で談笑をしていた。


「……先生、先生は……」


少年は何かを言い掛けるが、そこで口を閉ざす。そんな少年の姿に、男は胸が熱くなった。


「……。…………そろそろ、夏至の季節ですね」


そう告げる声は何処か寂しく、横目で少年を捕らえる。


「……寂しいか」


「え……? 」


ぽつりと、まるで水面に跳ねた滴のように小さい男の声に、少年は首を傾げた。


「……」


「……そう、ですね。寂しいと言えば寂しいけれど……でも、今は大丈夫です」


貴男がいるから、そう言って少年は男の肩に自分の頭を預ける。そしてどちらともなく顔を寄せ、互いの温もりに酔い痴れた。


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