一番大切な人
途中で裕太が話を変えた。
『俺、一年間留学することにしたから。』
『どこで?』
『ニューヨーク。』
『いつの間に決めてんだよ?』
最近、二人に驚くことが多すぎてこんがらがる洋介。
すると、奈菜が名残惜しそうな顔で
『だからなるべく裕太と一緒にいるの。』と言った。
裕太が、
『奈菜は寂しがり屋だからな。一年ぐらい我慢しろ。すぐ戻って来るから。』と言うと、
すでに奈菜は涙目。
まるでチワワのように目をウルウルさせて裕太に甘えている。
俺なんか今だに真美を抱きしめることができてないのに…
こいつらを見てると
羨ましいよ。
裕太の留学は来年の4月からで、卒業までには戻って来るらしい。
『頑張って言ってこいよ。あっちでうわきすんじやねーぞ?』
裕太は赤面にしながら応えた。