秘め恋*story2~学校で…~
「隆、最近学校どう?
なんか、面白いこととかないの?」
朝、寝ぼけ目で朝ごはんを食べる息子に会話を振ってみた。
「別に普通。」
ただの反抗期ならいい。
でも、この子は反抗しない。
ただ無関心。
家族が幸せな時でも、辛いときでも、
どうでもいいって態度。
その姿が嫌でも父親に似てきて…私は、これから先不安しかない。
「受験のこと、お父さんと相談したんだけどね…」
「あぁ、どうせ好きなようにでしょ。いいよ、俺適当に担任と相談して決めるから。」
「でもね…」
あぁ、ほら。
あの人と一緒。
こっちが何か言おうとしても、もう聞く気がない。
だから、私はいつも言葉を飲み込んでしまう。
その言葉は消化されずにずっと心の奥へ奥へと溜まっていく。
私、今なんのためにこの家にいるんだろ。
この家に住むのは、一体家族なんて言えるのかな。
はぁ。
いつしかため息が癖になってる。
というか、もうなにに対してのため息なのかももうよく分からない。
ーーーーーーー
夫が出勤し隆が学校へ出ると、私はパートをしている家から15分の所にあるスーパーへと出勤する。
自転車を駐輪場へ止めると、ちょうどパート仲間である中井さんが声をかけてくれた。
「おはよう、有子さん。」
「おはようございます、万智子さん。」
「ちょっとぉー、聞いてよー。」
「はい、また孝司くんネタですか?」
万智子さんは50代前半で私と同じ一人息子がいる。
大学生の一人息子、孝司くんは高校時代からやんちゃで、今でもなんやかんやお騒がせしているらしい。
そんな息子の愚痴を万智子さんは私にいつも話してくれる。
万智子さんも万智子さんで、そんな息子の愚痴を呆れながらも面白おかしく語ってくれる。
無関心な息子をもつ私にとっては、
そんなやんちゃさがちょっと羨ましかったりする。