秘め恋*story2~学校で…~





「いらっしゃいませー。」





今日は急なシフト変更で、午後から出勤していた私。




夕御飯の準備ができないけど…なんて心配いらないと思う。



夫は最近いつも飲み会でご飯はいらないし、
隆は友達と食べて帰るか、いらないか。



楽なような、寂しいような複雑な気分。



はぁ。



1人またため息をついてしまいながら、お惣菜コーナーで半額のシールを貼る。





「いらっしゃいませー。あ…」



「こんばんは。」



「あ、先生、こんばんは。いつも息子がお世話になっております。」




ふと隣のお客さんを見ると偶然、それは隆の担任の先生である佐伯(サエキ)先生だった。



佐伯先生は、背が高くガッチリしていていかにも体育の先生って感じの人。
実際、体育の先生らしいんだけど。




そして実は、案外保護者(女性)から絶大な人気を得ているイケメン教師。




確かに顔は整ってるし、声はちょっと掠れてて色気があるし。




「遅くまで大変ですね。」




「テストが近いですから、今は仕方ないんですよね。だから毎晩、ここのお惣菜に助けてもらってます。」





なんて照れるような笑みで頭をポリポリ掻く佐伯先生を思わず見つめてしまう。



何だろう、この母性本能をくすぐられる感じ。
久しぶりの感覚…





「あら、夕飯を用意して待ってくれてる彼女さんがいるんじゃないですか?」




「いたら良いんですけどね。
生憎、寂しい一人暮らしです。」




と、苦笑いの佐伯先生。



彼女なしか。
こんな情報、他のママさんが知ったら大変な事が起こりそう。



なんて事をふと考えていると、




「隆くんや旦那さんが羨ましいな…」




「え?」




さっき私が半額シールを貼った海老フライのパックを手に取りながら、佐伯先生はぽつりと呟いた。



思わずその顔を見る。




「だって、家に帰ったら美味しい夕飯を作って待ってくれてるこんな綺麗なお母さんがいるんですもん。」




ーーーーーちゅん。



ああ、どうしよう。
この胸がきゅうってなる感じ。



佐伯先生…そんな事、生徒の保護者に言っちゃダメなんですよ。



ときめいてしまう。









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