初恋スクランブル
【西脇さんの恋愛】
吐く息が真っ白になってしまう冬。
卒業を目前に控えていて周りは浮き足立っている。
卒業旅行はどこに行こうかとか大学生活楽しみだとか・・・色々話している声が聞こえるけど、私・・・西脇彩夏にはその声が右から左に受け流されている。
それもこれも、全てあいつのせい!
「どうしたんだよ、そんな顔して。」
私は、隣の席に座っている男をキッと睨む。
でもその男は全く気にしていないというように席でお菓子を食べている。
「お前もいる?新発売のお菓子だぞ。」
「いらないわよ。」
突き出されたお菓子を拒否する。
すると、こいつは私の席の近くに椅子を置いてまたお菓子を食べ始めた。
本当になんなのよ、こいつ・・・。
私は口に出そうとした文句を飲み込んでこの男の顔を見た。
私の隣の席に座っているこの男の名前は天乃時雨。
誰からも好かれていて・・・特に女子からはカッコいいと言われてもてはやされている存在。
でも、そんな時雨が私は女なのにカッコいいとは思わない。
むしろ私の嫌いに当たる人物だ。
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