初恋スクランブル




私と時雨が見ているのは私とさっきこの場にいた瀬名君と私の親友、山瀬結衣が仲良く二人で帰っている所だった。




「どこからどう見てもカップルよね・・・。」




時雨にも聞こえないくらい小さな声で呟く。


分かっていたことだけど、実際目にすると心が痛む。



好きになった人が好きなのは自分の親友。


よくドラマとか漫画であるけど実際、こうしてあるなんて思わなかった。


すると、時雨は溜め息をついて窓にカーテンをした。



突然、目に見える景色はカーテンの色の黄色に染まる。




「何するのよ!」




せっかく見ていたのに邪魔されてしまっては見ることができない。


でも、時雨は私の文句を聞かずに私がさっきまで読んでいた本を差し出した。




「読むんだろ?」




どこか見透かしたように言う時雨がまたムカつく。




「読むわよ。読めばいいんでしょ!」




時雨から本を奪い取るように本を取って私は窓から離れて再び椅子に座る。


瀬名君はいないのに嫌いな本を読まなくてはいけないことが嫌になる。


しばらく、無言で読んでいると時雨が話しかけてきた。





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