初恋スクランブル




「彩夏はまだ、悠樹が好きなのか?」




急に聞かれた質問に胸がズキッと痛む。




「好きよ。それが何か文句でもある?」

「いや、ねぇけど・・・。彩夏はそれでいいのか?」

「何が?」




気づいていないフリをして私は時雨の質問をはぐらかした。


すると、時雨は真剣な顔をして私の顔を見た。




「もう気づいてるだろ?」




まるで、全てを射抜くような目で聞かれた。


時雨にはもう全て分かってしまっているのか・・・。



そうなると隠すことが馬鹿らしくなってくる。


私は読んでいた本を閉じて時雨の質問に答えた。




「瀬名君の好きな人が結衣であったとしても私は瀬名君が好きよ。」

「諦めようとか思わねぇの?」

「その言い方だと私に諦めてほしいって聞こえるんだけど・・・。」

「そりゃ、そのつもりで言ってるからな。」




相変わらずの時雨の言葉。


私が瀬名君を好きだと知ってから毎回こんな感じだ。




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