初恋スクランブル
瀬名君は私が気づいていないと思っているけどバレバレだ。
結衣だって、あれ以来瀬名君についてよく聞いてくる。
あと、一押しすれば二人はカップルになれる状態まできてしまっている。
「正直に言って、彩夏に勝ち目はないと思う。」
時雨が容赦なく言う。
分かってる・・・。
そんなこと分かってる。
だから、必死に頑張ろうと思ってもがいてあがいているんじゃない!
「時雨に何が分かるのよ!」
事実を言われていることが腹立たしくてきつく言ってしまった。
好きな人の恋は応援してあげるべきかもしれない。
親友の恋を応援してあげるべきかもしれない。
でもそれが、出来ないから私は苦しんでいる。
時雨にその気持ちは絶対に分からない。
「・・・・・・分かるよ。」
少し悲しそうに言う時雨。
どうして、時雨がそんな顔をするのよ・・・。
意味が分からなくて首を傾げていると時雨は私の頭を撫でた。