初恋スクランブル
「俺も、恋してるからな。」
時雨から衝撃的な言葉を聞いて私はビックリした。
時雨が恋をしている?
あの、時雨が?
「ありえないわ・・・。」
「失礼だな、お前。」
そう言った時雨は私の頭を軽く叩いた。
「俺だって真剣に恋愛くらいする。」
「へぇ・・・。」
「信じてないな。」
「うん。だって、女の子をコロコロと変えて女の子を泣かせる時雨が恋をしているとは思えないわ。」
ハッキリと言うと時雨はブツブツと言い出した。
「いや、分かっていたことだけどな・・・。うん。」
「何、言ってるの?」
「何でもない。」
いつも以上に変な時雨に首を傾げる。
何か変なものでも食べたのかしら?
少しだけ心配していると、時雨は溜め息をついた。
「はぁ・・・。とにかく俺も今、恋してるからお前の気持ちも少しは分かるよ。で、彩夏はいつ告白するんだ?」
「卒業式。」
「また、ベタだな。」
「女の子の夢なんだからいいでしょ!」
時雨が馬鹿にした様に言う。
一度くらい卒業式に告白というシチュエーションはやってみたい。
「ま、頑張れよ。」
そう言って時雨は私の頭をまた撫でた。
その撫で方がどこか瀬名君と被っていると思ってしまった。