初恋スクランブル
一体、どうしてこんな女を好きになったのか疑問だと自分でも思う。
女の涙は美しいって言うけど・・・あれに俺もやられたのか?
いや、女なんて泣かせまくってるしそれはないな・・・。
自分で完結していると彩夏が付け足すように言った。
「まぁ、それもあるけど・・・・・・ここまで瀬名君に関して色々と聞いてもらったから今度は私が聞こうかなって。私だって、たまには(一応)友達の時雨に何かしてあげたいのよ・・・。」
彩夏がニコッと俺に笑って言う。
散々、意地悪なことを言ってきたりしたのに彩夏は俺のことを友達だと思っているのか・・・。
その言葉は俺のことを思っての言葉だったけど・・・俺にとっては残酷な言葉でもあった。
彩夏が俺のことを友達だと思っている以上、俺に勝ち目はない。
なら、友達だって思われるよりいっそ・・・嫌われた方がいいのかもしれない。
「いつまで、彩夏は俺のことを友達だと思ってるんだ・・・?」
「え・・・。」
ビックリした彩夏に俺は顔を近づけて軽くキスをした。
嫌いになればいい。
俺は、勝ち目のない勝負には参加しない主義だ。
そう思いながら俺はキスをした。
「なに、するのよ・・・。」
一瞬の出来事のように思われた。
軽くキスをして彩夏から離れると彩夏はボーゼンとして俺を見ていた。