初恋スクランブル
「この前ね、彩夏に渡したいものがあって図書室に行ったの。そしたら、天乃君と彩夏がいて・・・。彩夏は疲れたからか寝ちゃってて、そんな彩夏の頬に天乃君・・・キスしてたの。」
一つずつあの時の光景を話す山瀬さん。
え、時雨が西脇さんにキスをしていた?
冗談のような出来事に驚いてしまう。
「私、恥ずかしくなってすぐに来た道戻ったんだけど・・・天乃君は多分、彩夏が好きなんだと思うんだ。」
どこか確認したように言う山瀬さんに僕は納得した。
確かに、時雨の異変にはさっき言ったように感じてはいたけど・・・。
親友のこういう行為に何と言ってあげればいいのか分からない。
「そうなんだ・・・。」
「うん。彩夏は天乃君を嫌いって言ってるけど、天乃君は彩夏を好きみたいだから・・・何か、天乃君が可哀想で。」
山瀬さんは本当に可哀想と思っているのか悲しい顔をしている。
時雨、同情されてるよ・・・。
時雨には届かない思いを心の中で言う。