初恋スクランブル
「それじゃ、時雨。後、よろしくね。」
「彩夏もありがとう!」
急にそそくさと帰る支度をした二人に俺たちはボーゼンとする。
何が起こってるんだ?
何も言えないまま見ていると、二人は仲良くじゃあねと言って帰ってしまった。
何しに来たんだよ、あいつら!
残された俺と彩夏。
何も喋らない俺たち。
気まずい・・・。
「・・・・・・謀られたわね。」
やっと、彩夏が声を出した。
それにつられて俺も言う。
「みたいだな。何、考えてんだ・・・あいつら。」
そう言うと、彩夏は早々と帰る支度をした。
そして、何も言わずに俺の横を通りすぎようとする。
その姿を見て俺は咄嗟に彩夏の手を掴んだ。
「何?離して。」
彩夏に冷たい目で見られる。
当たり前の反応だ。
昨日、あんなことをしたんだからな。