初恋スクランブル
何よりも聞きたくなかった言葉なのに、不思議と後悔が生まれない。
むしろ、どこかスッキリとしている。
はぁ・・・初めて俺、振られたのか。
他人事のように思っていると、彩夏は言葉を続けた。
「でも、あんたのことは友達だと思ってるわ。そこは、変わらないから・・・。」
彩夏から予想外の言葉が出てきて俺はビックリした。
「・・・マジで?」
「何よ、私と友達になりたくないって言うの?」
「いや、そうじゃねぇけど・・・。」
もう嫌われて近寄るなとか言われると思ってたから驚きが隠せない。
「お前・・・優しすぎ。」
彩夏の言葉が嬉しくて俺は笑って彩夏の頭を撫でた。
「ちょ、何するのよ!」
「いいだろ、別に減るもんじゃねぇし。」
「せっかく髪の毛セットしたのに台無しじゃない!」
「そんなの、見せる相手が帰ったから問題ねぇだろ。」
「そういう問題じゃない!」
いつものように口喧嘩をしながら話す俺たち。
昨日と同じように話しているけど、少し胸が痛いと思ったのは気のせいだと自分に言い聞かせた。