初恋スクランブル




「私・・・瀬名君が好き。」




自分のありったけの思いを込めて言う。


人生初の告白。


結果は分かっているけど諦め切れなくて私は玉砕覚悟で言った。



目の前の瀬名君は目を大きく見開いている。




「ずっと、好きだったの。瀬名君は私のことを好きじゃないって分かってるけど・・・どうしても言いたかった。」




分かっている。

瀬名君は私を選んではくれない。


私の親友の結衣を選ぶに決まっている。


結衣が親友でなければよかったと何度、思ったことだろう。

結衣が瀬名君の前に現れなければ良かったのにと何回思ったことだろう。


好きになったのは私の方が先なのに・・・。


そんなことばかりいつも私は思っていた。


でも、今日でこの思いとはさよならをする。



そう決めていたから・・・。




「ありがとう。僕なんかを好きって言ってくれて・・・。」

「・・・・・・。」

「でも、ごめんね。僕には好きな人がいるんだ。」




こんな時まで優しく言う瀬名君。


あぁ・・・この人を好きになって良かった。

心の底からそう思う。





< 34 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop