初恋スクランブル
「何をしに来たのよ。」
相変わらず可愛くない私はそんな風に聞いてしまう。
でも、そいつは私の頭を後ろから撫でながら優しく言った。
「何、泣きそうな顔して言ってんだ。」
「うるさいわよ。」
「相変わらずだな。泣きたいときは素直に泣いた方が可愛いぞ。」
「あんたに可愛いなんて思われたくないわ。」
「素直じゃねぇな・・・。」
時雨は素直じゃない私を笑った。
その優しさが嬉しくて私は時雨にばれないように背を向けながら静かに泣いた。
不意の笑顔が好きだった。
無謀と知っても好きだった。
好きだった、誰よりも・・・。
でも、貴方の隣は私じゃない。
貴方に恋をすることができて幸せだった。
「瀬名君にあんたと同じくらい好きだって、同率にされたわ。」
「嬉しくないのか?」
「・・・・・・嬉しいわよ。最高の褒め言葉じゃない。」
涙が止め処なく頬を伝って流れていく。