初恋スクランブル




「それって本って言うのか?」

「言うわよ!」

「いや、園芸大百科って・・・。」

「本でしょ!そういう時雨は何も読んでないじゃない!」

「俺は悠樹の付き添いで入部しただけだから読まなくてもいいんだよ。」

「どういう理屈よ!」




静かにしなければならない図書室でギャーギャーと騒ぐ。


でも、注意する人がいないから会話はそのまま続く。





「大体、さっきのも時雨のせいで私があの子達に言われたんだから!」

「俺のせいって・・・。でも、あいつら面倒だったから彩夏が言ってくれて助かったよ。」

「助かった?よくもそんなことが言えるわね。それに、女の子の気持ちをないがしろにすると後で痛い目見るわよ。」

「分かったって・・・。相変わらず彩夏はうるさいな。」

「うるさく言わせてるのは誰か分かってよ!」




永遠と続きそうな会話をしている私と時雨。


瀬名君はその会話をニコニコと笑いながら聞いている。



笑っていないで助けて欲しいんだけど、その笑顔がカッコいいから何も言えない。
すると、瀬名君が窓辺をチラッと見た。


知らない人が瀬名君の行動を見たら何か外に何かあるのかな?と思うかもしれないけど、私はそこに何があるのかを知っているから何も言わない。


部活の時間に何度もあるその行動。



いつからか、私はその行動を見て見ぬフリをするようになった。




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