初恋スクランブル
「あ、僕そろそろ行かないと。」
「何かあるのか?」
「ちょっと、ね・・・。」
急に慌てだした瀬名君に時雨が首を傾げる。
私はその慌てた理由を知っているから特に何も聞かない。
「じゃあね。時雨、西脇さん!」
慌しい様子で瀬名君は帰ってしまった。
この場に残された私と時雨。
最悪だわ、今日はとことんついていない。
すると、時雨は私の顔を見てきた。
「お前、何か知ってるだろ。」
真剣な顔をして私を見て来る時雨に私は困った。
時雨は妙に鋭いから気づいてしまうかもしれない。
「別に何も知らないわよ。」
「本当か?」
「えぇ・・・。」
「嘘ついてるだろ。」
時雨に指摘されて私は目を大きく見開いた。