レインドロップ

「ごめんね、祐希くん、千里ちゃん。蒼ってばプールの約束忘れてたみたい。今日は風邪気味だから、二人で行ってこいって」

「え!蒼ちゃん大丈夫そう?」

「平気よ。馬鹿の風邪はすぐに治るんだから」

毎日宿題もしないで遊びほうけてるからよ、と蒼ちゃんママ。

くすっと横で祐くんが小さく笑った。

「祐くん!」

「ごめん。蒼らしいなって思ったんだ。で……どうする?今日。蒼いないならまた今度にする?」

そうだね…と答えようとすると

「いーのよ!あの馬鹿息子も少しくらい痛い目見た方がいいんだから、今日は二人で楽しんで来てちょうだい」

もう一度目を見合わせる私たち。

「じゃあ行こうか。蒼とはまた今度ってことで」

「うん……」

蒼ちゃんママ越しに見える彼の部屋に、そっと視線を向ける。

「蒼ちゃん、行ってくるねー。風邪早く治してね!」

「ごめんね、蒼」

さっさと行ってこい、と返事が帰ってきた。

「元気そうなのにねぇ」

そう首を傾げる蒼ちゃんママにバイバイして、私たちはプールへ向かった。
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