レインドロップ
「千里!こっち!」
ロッカールームから少し離れたところで手を振っている。
「ごめんね、待たせちゃって」
人混みをかき分けて、なんとかそこへたどり着けた。
「大丈夫」
泳ぎに行こう、と私の手を引く。
「うん!」
きゅっと手を握り返すと、祐くんが照れたように笑った。
「なんか…久しぶり」
「手を繋ぐの?」
「そう。昔はよくしてたのに」
「もう子供じゃないもん!」
「そうだね。今日は千里の迷子防止のため、ってことで」
「だから子供じゃないってば!」
まったくもう!
と怒ったふりをすると、笑いながら「ごめんね」と言った。