レインドロップ
“あの日”1ヶ月前
「おはよー!」
遅刻ギリギリで6年3組の教室に滑り込む。
上がった息を整える暇もなく……
「こら佐伯!何度言ったらわかるんだ。もっと早く来い!」
先生にこうして怒られるのも日課と化していた。
「まだチャイム鳴ってないじゃん!」
「‘鳴る寸前’だ」
「ケチー!!」
クラスのみんなが笑う。
「ていうか先生!何でこいつらには怒らないの!?」
私の後ろにコソコソと身を隠していた2人を指さす。
2人はゲッと顔を見合わせた。
「3人に怒ると疲れるだろう。だから佐伯だけでいいんだ」
また、クラスがどっと笑う。
「ひどーい!」
「瀬戸、小山内、今度から気をつけるんだぞ」
2人はニヤニヤ私を見て、小さくガッツポーズしている。
ふーんだ。
と私は心の中でいじけた。