レインドロップ

夕方になっても、雨は止まなかった。

相変わらず、しとしと降っている。

祐くんもまだ帰って来ない。

夏休みだから、道が混んでいるのかもね。と、お母さんは言った。

浴衣を着付けて貰って、迎えに来た蒼ちゃんと一緒に、花火大会の会場のそばでやっている縁日へ向かった。

「はあー…」

楽しいはずの縁日でも、出てくるのは溜め息ばかり。

「溜め息ばっかついてると、老けるぞおばさん」

「うーるーさーいー。花火大会…出来るのかな…」

「縁日やってんだから、出来んだろ」

ぶっきらぼうに言って、さっさと前を歩く。

「祐くん、まだ帰って来てないのかな?」

もう18時を回っていた。

「家に着いたら俺の携帯に連絡するって言ってたけど…。何も着信無いな」

「道が混んでいるだね…」

「だな」

雨なのに縁日には結構人がいて、みんな傘をさしているため、ごちゃごちゃしていて迷子になりそう。

そんな人混みの中で、私は見つけた。
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