レインドロップ
「かわいいっ!」
射的の景品にあった、お花の指輪。
小さいピンクの花がリングを作っている。
私は人をかき分け、その元へ駆けていく。
「やあ、お嬢ちゃん!やるかい?1回300円だよ!」
300円かぁ…。でもあんな小さいところに当てられるかな…。
悩んでいると
「おい千里!いなくなんなって」
蒼ちゃんが同じように人混みをかき分けて来た。
「なに射的?やるの?」
「やりたいんだけど…難しそうで…」
うーんうーんと唸っていると、見かねたように蒼ちゃんが
「どれだよ」
「ん?」
「ほしいやつ」
「…取ってくれるの?」
おじさんにお金を払いながら、頷く。
「お前明日、誕生日だし」
「…何も買ってなかったんだ?」
「うっせ!」
金欠なんだよ、と続ける。