レインドロップ

「あのお花の指輪ほしい」

射的の景品台の一番上にそれはあって、しかも両側は大きなお菓子の箱によってガードされていた。

「へっ!やりがいあんじゃん」

蒼ちゃんのゲーム魂に火が着いた。

しばらくの沈黙の後にぽんっと軽快な音が響いて、コルクは見事に一発で指輪を落とした。

「蒼ちゃんすごーい!」

大したもんだ!と出店のおじさんも絶賛。

「へへっ!まだまだ…」

残りの2つのコルクで、指輪の両側に置いてあった大きなお菓子も撃ち落とす。

「すごいすごーい!」

いつの間にか私の両手にはいっぱいのお菓子。

それと

「ほら、指輪」

「ありがと…わわっ!」

ポイッと投げて渡すから、落としそうになった。

そして再び、私の前を歩き出す。

「もー。ちょっと待ってよー!」

慌てて着いて行こうとしたときに

蒼ちゃんの携帯が鳴った。

「もしもし──」





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