レインドロップ
毎日遊んだ公園の前で、思わず足が止まった。
『うぇーん!いたいよぉーっ!』
鬼ごっこをしていて勢いよく転んだ私のもとへ、祐くんが真っ先に飛んできてくれた。
『せんりっ!だいじょうぶ?』
『う…いたく……ないもん…っ』
涙を必死にこらえながらバレバレの嘘をついた。
たしか、膝を派手に擦りむいたんだっけ。
『じゃあ、おまじないをかけてあげる』
『おまじない…?』
そっと傷口に手をあてて
『いたいのいたいのとんでけー!』
私はぽかんとしていたけど、祐くんはにっこり笑って
『これで、もういたくないよ』
祐くんがそう言ったら、本当に痛みが無くなったんだ。
『うんっ!いたくない!』
しばらく、私は祐くんは魔法使いだと思っていたんだっけ。