レインドロップ
「…祐くん……」
「千里……?」
蒼ちゃんの声でハッと我に帰る。
やっぱり、今日は家に帰るか?
心配そうに蒼ちゃんが聞く。
「…ううん。大丈夫……っ」
本当は蒼ちゃんだって大丈夫じゃない。
でも、立ち止まっちゃいけないから、歩かないと。
祐くんはきっと、元気に走り回って大騒ぎして、いつも笑顔で笑い合う私たちが好きだと思うから。
だから、今は笑えるように頑張るの。
「……無理すんなよ…?」
心が読まれたみたいだ。
「……うん」
蒼ちゃんもね。
心で返した。