レインドロップ

嘘と約束



俺たちは中学3年生になった。


あの花火大会の日から、千里はよく笑うようになった。

泣きそうな笑顔を見ることはもうない。

最近では、祐との思い出話をするようになるまでだ。

少しずつ、でも確実に、俺たちは前に進んでいる。


「でねっ蒼ちゃん。昨日瑠里が晩ご飯作ってくれたんだけど、肉じゃががなんかすっごく甘かったの」

「あいつ未だに料理出来ないのかよ…」

「がんばってるんだけどねー。ほら、意地っ張りだし不器用だし?私が教えてるのにちっとも聞かないんだよね」

「あー…。それがあいつの敗因か…」

朝に下らない会話をしながら登校するのは、相変わらず変わってないけどな。

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