レインドロップ
「悪かったわね、敗者で」
「うおっ、瑠里!」
瑠里も俺たちと同じ中学の2年生になった。
「そんな幽霊が出たみたいな反応、やめてくれる?」
「いや…実際ゆうれ…」
バシッと瑠里の鞄が、俺の頭にヒット。
「ちょっと瑠里!蒼ちゃんがもっと馬鹿になったらどうするの」
叱ってるのか…それ?
「ああ、そうね。これ以上使い物にならなくなったら困るわ」
この姉妹、ほんと仲良いよな…
「じゃあ、私先に行くから」
千里とは違う、真っ直ぐに伸びた髪をなびかせながら、颯爽と歩いていく。
あいつはいつまで経っても生意気だ。
「あ、瑠里ちゃんだぜ!やっぱり美人~!」
「瑠里先輩、朝から美しい…」
「あのさっぱりした性格……好みだ…」
所々から聞こえる男共の感嘆する声。
どうやら瑠里は、‘学年一の美人’という位置づけらしい。
もの好きな野郎もいるもんだな…
「あはっ瑠里ってほんとモテモテだね」
なんてこいつはのんきに言ってるけど…
「瑠里ちゃんのお姉さん…かわいすぎだよな」
「佐伯さんの笑顔、マジ天使…」
「美人姉妹万歳!」
なんで自分のこと言われてるのは気づかないのか…