レインドロップ

「ほら。取ったから離れろよ」

やや強引に腕を引きはがす。

「あー…怖かった…」

ただの小さい蛾であんなに大騒ぎすんなよ…

て、それよりも

「お前さ、あんまり男に抱きついたりすんなよ」

「ん?」

「隣にいたのが俺だったからよかったものの、知らない変態野郎だったらどうすんだよ」

「そんなの大丈夫だよー」

へらへら笑って、真面目に話聞いてねーなこいつ。

「俺だって男なんだかんな…」

「え?何か言った?蒼ちゃん」

「なんでもねーよ」

絶対わかってねぇ。全然わかってねぇ。

自分が周りにどう見られてるのか、少しは自覚しろよ。
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