レインドロップ
祐が死んで、恋だの好きだの、そんな感情は捨てようと思った。
俺たちにいちばん似合う、‘幼なじみ’でいようと。
「俺が千里とふたりでいるからって、ヤキモチやいてんのかよー、祐」
悔しくて夢に出てきたってか?
屋上にいる自分を包んでいる青空に向かって呟く。
「お前との約束、守ってんだろー?」
今思えば、ずいぶん勝手なことを話していたと思う。
でもこの頃はお互いそれなりに真面目に話していた。
祐だって、きっと本気で千里が好きだった。
「お前を裏切ったりしねーよ、祐」
約束は守る。
「男の友情ってやつか?」
空に向かってこぶしを突き上げてみる。
「だいたい、千里も千里だよな……」
こっちの気も知らないで。
いや、知れるはずないんだけど。
中身はガキのころのまんまで、外見はどんどん大人になっていく。
「ちょっとは考えろよな、馬鹿」
邪念をはらうように、俺は再び目を閉じた。