レインドロップ
ひと眠り、と思っていたものの、目が覚めたのは4限も終わりに差し掛かったころだった。
先生に適当に言い訳をしなんとか許してもらえた。
「午後は真面目に受けるように!」
と散々言われたにも関わらず……
「…ん?5時…?」
どうやら5、6限も爆睡していたらしく、只今5時過ぎ…
西日が差し込む教室には誰も居らず、外から賑やかな部活動の声がする。
「ふぁー…。誰か起こせよなー」
机で寝ていたせいか、凝り固まった身体をほぐしながら枕と化していた教科書を片づける。
「ってか千里のやつ、俺のこと置いて帰りやがったな」
ブツブツ言いながら誰もいなくなった廊下を歩いていると
「……っん…」
ん?
今、声したよな?
声がしたと思われるその教室に入ってみると、ひとりの女子が俺と同じように机に突っ伏して眠っている。
こいつも置いていかれたのか…
起こしてやろうと近づくと
「…千里かよ」
気持ちよさそうに寝ていたのは紛れもなく千里。
こいつは一度寝たら自然に目が覚めるまで絶対起きない。
きっとクラスの奴らに起こされても、気づかずにそのままでいたに違いない。