レインドロップ
そして次の日──
蒼ちゃんは先に学校に行ってしまったようで、いくら待っても来なかった。
そんなに怒らせたのかな…?
私、どんな寝言言ったんだろう…
何年ぶりだかひとりで学校に行き、なんとなくスッキリしない気持ちで席に着いていると…
「千里!千里!」
慌てたように駆けてきたのは、小学校からの友達のミキ。
「どうしたの、そんなに息切らせて」
「千里っ知ってる?!」
「ん?何を?」
その私の言葉にもびっくりしたような顔をしてから、自らを落ち着けるように数回深呼吸してから言った。
「瀬戸、彼女出来たって!」
ん?
瀬戸?
彼女?
突然すぎて一瞬頭が混乱したけど、すぐに理解できた。
蒼ちゃんに初カノが!
「めでたいね!」
「へぇっ?!」
またまた私の発言に驚いたように、ミキがものすごくすっとんきょうな声をあげた。
「千里、何言ってんの?!」
「え、だからーおめでたいねって」
私の知る限り初カノ!
蒼ちゃんも大人になったなぁ~
「あのさ…千里」
「んー?」
「もうちょっとなんか思わないの?寂しいーとか、悔しいーとか」
寂しい?
悔しい?
なんで?
「全然?」
「……あんたも鈍いねぇ…」
「鈍いってなんでー?」
帰りにおめでとうって言おう!
ミキの言ったことの意味がわかったのは、だいぶ後になってからだった。