月の女神








結真に喋って良かったことは、いざという時に助けになってくれることと、

「でね、お弁当も作ってくれたんだー」


「…それ、作ったっていうわけ?自分で詰めたんだろ」


お弁当の蓋をあけて食べようとすれば、


向かいに座って箸で僕の弁当を指しながら呆れた声で言ってくる。


「たしかに詰めたのは僕だけど!」


「なら、作ったのは自分じゃん」


「でも!オムライス自体は彼女が作ったんだから彼女が作ってくれた弁当でしょ?」


昨日も帰ればるなが夕飯を作ってくれてた。

僕の大好きなオムライス。


るなは相変わらず全部食べきれなくて。


お昼に持って行ってもいい?って聞いたら


笑顔で頷いてくれたんだ。

お弁当作るなら明日からもっと早く起きるよって言ってくれたけれど、

それは申し訳なかったから僕が詰めた。

「まぁ、いいんじゃね?」

どーでもいいように自分の弁当を口へと運ぶ結真。


その様子を見て、一瞬。自分の弁当箱を見る。


「…一口だけなら、あげてもいいよ?」


「いらねーよ」


「そ。良かった」

< 49 / 60 >

この作品をシェア

pagetop