月の女神
……美味しい。
「…料理できるんだな」
ぽつり、結真が意外そうに言う。
「お母さんが働いているから自分が作ることも多かったみたい」
「家庭的だな」
「本当。おかげですっごく助かる。…彼女の負担になってないといいけど」
るなは、僕の家にいてくれるだけでいいのに。
何かしないといけないと思ってやっているなら彼女の負担になってしまう。
彼女の負担にはさせたくないな…。
「幸せそうでなによりです」
こうして、誰かにるなにしてもらった幸せを話せることが一番嬉しい。
「今日の晩御飯はなんだろーって思えるのって嬉しいよね」
「まあな」
帰ったらるながいて、ご飯ができてて幸せだ。
こんなに僕が幸せでいいのかと思ってしまうくらいに。
笑ってしまった僕を見て、呆れたように眉を寄せた結真。
「幸せそうなのは良いけどお前、顔に出過ぎ。彼女でもできたのかって噂されてたぞ」