月の女神




「まだるなは不安定で。戻れるような状況じゃないと思う。それなのに、僕にも頼られなくなったら…」


まだ住み始めて余りたってないけれど、少しずつ心を開いて甘えてくれているところを見ると少しは僕がるなの支えになれていると思う。

その支えが無くなったら…。


また、僕が彼女を家に呼んだ時のように、


痩せてぼろぼろになってしまうんじゃないかって不安になる。

「まぁ、彼女次第じゃない?お前は彼女を猫が化けてるって思ってるんだから。彼女と鉢合わせしない限り、彼女が陽太の素性を知るだけで終わるでしょ」


何のための馬鹿らしい話作ったんだよ、と笑いながら言われる。

そうだけど…


「それで出て行ったらまた考えればいい。とにかく鉢合わせしないことだけ考えれば」


「…うん」



「ま、彼女が陽太を見つけた時点で彼女の方が陽太に見つからないようにしそうだから気にしないでいいけど」


「…うん」


できれば、こないでほしい。


彼女が高校生活の思い出の1つの行事に参加することはいいことなのかもしれないのに。


そう願ってしまう自分は最低なのだろうか。


彼女が僕の前からいなくなる。


心のどこかで、そんな心配が最近よぎるんだ。



おかしいよね。


元の生活に戻ってくれることはとても嬉しいことなのに、

寂しいと思ってしまう自分がいるなんて。





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