月の女神


…本当、好かれててうらやましいなぁ。



「英語科の助っ人。しっかり学びなさい」


えーーーとブーイングの嵐の中、涼しい顔の結真は背を向ける。


「じゃ、また後で」


「あ、うん」

「あーっと、」


先に教師にだけ配られたパンフレット片手に、行きかけた結真が戻ってくる。



ん?と首を傾げれば、

ぽんっと肩に手を置かれて引き寄せられ…


「…あの子、来てるらしいから」


一言。


言い終えるか終えないかの後に、美術館へと歩いていく結真。


…やっぱり、か。



研修に行くのか行かないのかは、あえて気にしないようにしてた。


だけど、僕が研修に行かなければいけないことはちゃんとるなに言わなきゃいけないなって思って。


報告しようとしたけれど、


なかなか言いづらくて結局言えたのは3日前。


るなはどうするのかなって思ってはいたけれど



…参加したんだ。






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