月の女神




すぐに答えをだせずに困った顔しか返せなかった僕に対し、先生は続ける。

「無理とは言わない。ただ、授業しなくても自習監督はお願いするけど…」



僕が断りやすいように優しい先生はそう言ってくれた。

それを聞いて、断ろうかな…とも思った。



けれど、すぐに「逃げ」の選択をしたいと思っている自分が嫌になった。


これは、いい機会じゃないだろうか。


せっかく先生がそう言ってくれてるから、頑張りたい。


「します!」


一言。勢いだった。


言えば先生は安心したように笑って、頼むよ。と肩を叩きながら言ってくれた。




だけど、僕はたった今決めたことなのに。


すでに半分、後悔が始まっていた。

やっぱりやめとけば良かったかな。


自習監督だけにしとけば良かったかな。




…そんなことを思ってしまう僕が、本当に嫌いだ。






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