月の女神
ーー自習だと思っていた子達は機嫌が悪かった。
教室に入った瞬間
ざわついていたのがぴたっと静かになって。
自習だと油断していた子達が自分の席に着いたのを見届けて
今から自習ではなく、授業をすることを告げると思いっきりブーイングを浴びた。
ごめんね、と心の中で謝りながら授業を始める。
何かと行事でも集会でも英語科と普通科は分けられるし
僕は普通科クラスの副担任だから本当に英語科の子とは関わりがない。
顔は見たことあるけれど名前までは分からない。
今回の授業がきっと最初で最後だろう。
どこまで進んでいたのかを一番前の席の生徒に聞く。
まだ歴史の授業自体が入学して数回しかしてないので、飛鳥時代の大まかな出来事やその時代の特色などを話して授業は終わった。
質問されることもなくて
なんとか授業はおわれたけれど、きっと大半が聞き流していたんじゃないかな。
自習だと思っていた所からの授業に、授業をしている間落胆の顔を全面に出してくる生徒も数人いた。
「ごめんね、自習じゃなくて。
……最後にこれ、今の授業に関してのアンケートを配るので簡単に記入してくれると嬉しいです」
最後にアンケートを配ろうとすると、
早く終わって休み時間に入りたかったのだろう。
また「面倒くさい」や「えー…」という不満の声が真っ直ぐに返ってきた。
チャイム自体はまだ鳴ってないから、オーバーにはなっていないのだけど。
このアンケートも、自分の悪いところを治して少しでも改善できればと思い自分を変えたくて考えた手段の一つ。
どこが悪かったのか、どうして欲しいか、教えて貰おうと思って作った。