KritO
私は風呂に入る気も、着替える気も起きずにベッドに仰向けになった。
ようやく、あのハンカチを手放せた…。
嬉しいような、悲しいようなよくわからない思いだ。感情を捨てた私にはよくわからない。
ただわかることは、
心がちっとも晴れやかにならない。
黒い、暗い雲がずっと心を覆いつくしてる。あの日からずっと。
ずっと…
兄さんのことはできるだけ考えないようにした。考えてしまえば自己嫌悪しか残らないから。
私はそのままゆっくり、目を閉じて寝ることにした。
「桐、ごめんな…」
悲しそうに謝る兄さんの声を聞きながら…。