魅惑な彼女

練習が始まりしばらく経つと、ランニングの時の掛け声が聞こえる。
見ると空手部が走っているようだ。
そこにはもちろん、稽古着姿で長い黒髪を1つに結んだ未亜の姿がある。
未亜の後ろには何人かの男の姿が見えた。
多分さっき言ってた未亜目当ての男子だろう。
走ってる先中、ちらちらと未亜を見ている。それがなんだかムカついて御幸は球をそいつに投げたくなってくる。

「おい御幸、何見てんだよ」

「あ、わりぃ奏」

「あぁあれか」

奏も未亜に気付いたようだ。

「しっかし未亜が空手出来るとは知らなかったな」

「なんだ、知らなかったのか」

「あぁ……多分な」

その答え方が曖昧で御幸は妙に思う。

もしかして……

奏は知っていたんじやないか?
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