真っ暗な世界で
男が去ってからしばらくしたあと、一人の女の子が私に話し掛けてきた。
「ねぇ、名前、何て言うの?」
「…………榛」
「へぇ~!可愛い名前だね!何歳?」
「………………5才」
「私のほうが二つおねえさんだ!私ね、小野夏希!よろしくねっ」
どんなにそっけなく返しても、底無しのような明るい声で私に話し掛けてくる女の子に私は少し驚いた。
怖くないの?私より、長くいるんでしょ?なんでそんなに明るいの?
私には、その子が理解できなかった。
二日も経つと、今は何日か分からなくなってきた。
ある日、誘拐された女の子のうちの一人、茉莉がいきなり発狂した。
「いやだ!もういやだぁぁぁぁぁぁあ!!ママとパパにあいたい!!!あぁぁぁぁぁあ!!!」
そして、シュルリ…と布がほどける音がした。
「あはははっ!!真っ暗だぁー!!」
私は、恐怖に震えた。
私も、いつかあんなにおかしくなるのかな?
茉莉はいつも大人しかった。いや、怯えていたといったほうが適切かもしれない。いつも、いつもその場にいない男に怯えていた。
だけど、来たばかりの私に親切に接してくれる、優しい子だった。
きっと、もう限界だったんだ。
怯えが極限に達した時、茉莉は壊れた。
布がほどける音がしたということは、茉莉が目隠しをはずしたということだ。
私たちは茉莉に必死に目隠しをつけるよう、諭す。
目隠しを外していたのを男に見つかれば、茉莉にあるのは、死、のみだ。
「ねぇ、名前、何て言うの?」
「…………榛」
「へぇ~!可愛い名前だね!何歳?」
「………………5才」
「私のほうが二つおねえさんだ!私ね、小野夏希!よろしくねっ」
どんなにそっけなく返しても、底無しのような明るい声で私に話し掛けてくる女の子に私は少し驚いた。
怖くないの?私より、長くいるんでしょ?なんでそんなに明るいの?
私には、その子が理解できなかった。
二日も経つと、今は何日か分からなくなってきた。
ある日、誘拐された女の子のうちの一人、茉莉がいきなり発狂した。
「いやだ!もういやだぁぁぁぁぁぁあ!!ママとパパにあいたい!!!あぁぁぁぁぁあ!!!」
そして、シュルリ…と布がほどける音がした。
「あはははっ!!真っ暗だぁー!!」
私は、恐怖に震えた。
私も、いつかあんなにおかしくなるのかな?
茉莉はいつも大人しかった。いや、怯えていたといったほうが適切かもしれない。いつも、いつもその場にいない男に怯えていた。
だけど、来たばかりの私に親切に接してくれる、優しい子だった。
きっと、もう限界だったんだ。
怯えが極限に達した時、茉莉は壊れた。
布がほどける音がしたということは、茉莉が目隠しをはずしたということだ。
私たちは茉莉に必死に目隠しをつけるよう、諭す。
目隠しを外していたのを男に見つかれば、茉莉にあるのは、死、のみだ。