真っ暗な世界で
「総司、斎藤!てめぇら、こんな時間までどこ居やがった!?」


帰ると、待っていたのはまさに鬼の顔をした壬生浪士組副長土方歳三だった。


「うるさいなぁ、土方さんは。僕、全力で走って疲れてるんですよね」


「……はぁ?斎藤、総司が全力で走るなんて、何があった?」


「いえ、勘違いでした」


「勘違い?」


さっぱり分からないと首を傾げる土方さん。


「…見回りをしている最中、悲鳴が聞こえたので、行ってみたのですがただの喧嘩のようでした」


「……そうか、まぁ、お疲れさん」


「ほんとにお疲れだよ。明日、非番にしてくれません?」


ダメ元で言ってみたけど、案の定呆れたような顔をして、拒否された。


「はぁ?するわけねぇだろ。馬鹿か」


「馬鹿じゃないですよ、馬鹿方さん」


「総司。副長にそんな口を…」


「誰が馬鹿方だ!ゴラ!!」


一くんが僕を諌めようとするけど、それを遮って土方さんが僕に鬼の顔をして怒鳴る。


うるさいなぁ。


「じゃっ、お休みなさい」


「おい、ゴラ。待て、総司!」


「大体、お前はいつも緊張感というものがなさ過ぎる。だからと言っていつも緊張しすぎも良くないが、やはり、ある程度の緊張感を持つことは………………」


鬼の顔で僕を怒鳴る土方さんと、いつまでも僕に説教をする一くんを置いて、とっとと自室へと戻り、眠りについた。



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