真っ暗な世界で
佐久田は怯えている。
彼の中の私と、本当の私が違いすぎて。
「……ち、力づくでも連れてゆく!」
カチャリ…と刀を構える音がした。
私もそれに倣って刀を構えた。
「覚悟!!」
佐久田はその叫び声を合図にして、ダダダダと向かってきた。
この部屋はそんなに大きくない。
刀を振りきるまでのきちんとした助走などできるわけが無く、どうしても勢いが足りないまま、刀を振ることになる。
つまり、勢いが足りず、満足な振り切りが出来ない。
まぁ、強い人は勢いなど必要なかったりするけれど。
そうこう考えているうちに、一歩先で空気を切る音が聞こえた。
……来た。
そう思った私は、すかさず刀を頭上に上げた。
キィィン!!
その瞬間、ずんとした重みと衝撃。そして刀同士がぶつかりあう金属音がする。
……一撃が重い。それなりに佐久田は強い。
この状態が続くのは、力のない私には不利だ。
とりあえず、刀を跳ね返して、佐久田の出方をみる。
佐久田は跳ね返されたあと、タタッと数歩下がった。
そして、勢い良く床を踏みつける音がした。
また来るの。飽きないね。
今度は真正面に空気の流れを感じた。
刀が縦なのか横なのかは分からないので、とりあえず、斜めに構える。
また、刀がぶつかり合う。ガチガチと震えながら、佐久田は離れる気配を見せない。
どうしたんだろう。
内心、首を傾げていると、佐久田が声を発した。
「何故、そこまで新選組に忠実なのだ?こんなところに監禁されてまで新選組の犬であり続ける意味がどこにある?貴様が新選組にいる目的はなんだ。…とてもじゃないが、貴様が佐幕派だとは思えん」
以前、斎藤さんが私に聞いた質問に一つ二つ付け足したような言葉。
無言を貫きたいけど、私が話すまで離れる気はないらしい。
しばらく睨み合っていると、廊下からトタトタと軽快な足音が聞こえてきた。
………まずい。この足音はゲンくんだ。
今、ここに入って来られたら、佐久田は絶対に人質にする。
なんとか、ゲンくんが入ってくる前に逃げるようにしたい。
多分、もうすぐ角を曲がるだろう。
角を曲がったところでは、佐久田も足音に気付かないはずだ。
外に向かって、小太刀でも投げればゲンくんは驚いて逃げてくれるだろう。
だけど、その隙をつかれて攻撃されたら私は受けられるだろうか?まだ傷が完全に癒えていないこの状態で。
背中に冷たいものが流れる。
そう考えているうちにタタッとゲンくんが角を曲がった。
考えている暇はない。下手に躊躇するとゲンくんに小太刀が刺さってしまう可能性もある。
佐久田の刀を薙ぎ払って、その間に懐から小太刀を出し、思いきり外に向かって投げた。
彼の中の私と、本当の私が違いすぎて。
「……ち、力づくでも連れてゆく!」
カチャリ…と刀を構える音がした。
私もそれに倣って刀を構えた。
「覚悟!!」
佐久田はその叫び声を合図にして、ダダダダと向かってきた。
この部屋はそんなに大きくない。
刀を振りきるまでのきちんとした助走などできるわけが無く、どうしても勢いが足りないまま、刀を振ることになる。
つまり、勢いが足りず、満足な振り切りが出来ない。
まぁ、強い人は勢いなど必要なかったりするけれど。
そうこう考えているうちに、一歩先で空気を切る音が聞こえた。
……来た。
そう思った私は、すかさず刀を頭上に上げた。
キィィン!!
その瞬間、ずんとした重みと衝撃。そして刀同士がぶつかりあう金属音がする。
……一撃が重い。それなりに佐久田は強い。
この状態が続くのは、力のない私には不利だ。
とりあえず、刀を跳ね返して、佐久田の出方をみる。
佐久田は跳ね返されたあと、タタッと数歩下がった。
そして、勢い良く床を踏みつける音がした。
また来るの。飽きないね。
今度は真正面に空気の流れを感じた。
刀が縦なのか横なのかは分からないので、とりあえず、斜めに構える。
また、刀がぶつかり合う。ガチガチと震えながら、佐久田は離れる気配を見せない。
どうしたんだろう。
内心、首を傾げていると、佐久田が声を発した。
「何故、そこまで新選組に忠実なのだ?こんなところに監禁されてまで新選組の犬であり続ける意味がどこにある?貴様が新選組にいる目的はなんだ。…とてもじゃないが、貴様が佐幕派だとは思えん」
以前、斎藤さんが私に聞いた質問に一つ二つ付け足したような言葉。
無言を貫きたいけど、私が話すまで離れる気はないらしい。
しばらく睨み合っていると、廊下からトタトタと軽快な足音が聞こえてきた。
………まずい。この足音はゲンくんだ。
今、ここに入って来られたら、佐久田は絶対に人質にする。
なんとか、ゲンくんが入ってくる前に逃げるようにしたい。
多分、もうすぐ角を曲がるだろう。
角を曲がったところでは、佐久田も足音に気付かないはずだ。
外に向かって、小太刀でも投げればゲンくんは驚いて逃げてくれるだろう。
だけど、その隙をつかれて攻撃されたら私は受けられるだろうか?まだ傷が完全に癒えていないこの状態で。
背中に冷たいものが流れる。
そう考えているうちにタタッとゲンくんが角を曲がった。
考えている暇はない。下手に躊躇するとゲンくんに小太刀が刺さってしまう可能性もある。
佐久田の刀を薙ぎ払って、その間に懐から小太刀を出し、思いきり外に向かって投げた。